[建設業許可]
【2026年対応】建設業許可の「経営業務管理責任者(経管)」要件とは?|起業時に最もつまずくポイントを行政書士が解説
はじめに
建設業許可を取得する際、最も多くの方がつまずく要件が「経営業務管理責任者(経管)」です。建設業の経営経験を証明できないと、他の要件を満たしていても許可は取得できません。
建設業者の皆様の中には、4月の年度初めに独立を考えている方も多いのではないでしょうか。または、「そろそろ建設業許可を取って大きな現場に入りたい」と考えている一人親方の方や、建設業の会社を立ち上げたばかりで、今後の事業拡大を見据えて許可の取得を検討している経営者の方も多いと思います。
国土交通省の発表によると、建設業許可業者数は年々増加しており、令和6年度末(令和7年3月末)時点で全国483,700業者となっています。これだけ多くの業者が許可を取得していることから、「建設業許可は比較的簡単に取れるのではないか」と考える方も少なくありません。実際、弊所に相談に来られる方の中にも、そのようなイメージを持っている方は多くいらっしゃいます。
しかし、実際には建設業許可の取得は決して簡単ではありません。
特に、過去の実績を証明する必要があるため、どうしても許可が取れないケースも多く存在します。私の実感としては、相談を受けた案件のうち、およそ3分の1程度は「現時点では許可が難しい」と判断するケースです。つまり、建設業許可は思っている以上に要件が厳しく、準備不足のまま申請できるものではないのです。
その中でも特にハードルが高いと言われているのが、「経営業務管理責任者(経管)」の要件です。この要件を満たせないために、許可申請を断念するケースは非常に多く、建設業許可の「最大の壁」とも言われています。
本記事では、この経営業務管理責任者(経管)について、できるだけ分かりやすく解説します。
なお、建設業許可の基本的な仕組みや、許可が必要になる工事の範囲については、「500万円未満でも要注意!建設業許可が必要になるケースと最新法改正」の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
建設業許可の「経営業務管理責任者(経管)」とは
建設業の許可を受けようとするものは、経営業務の管理責任者(常勤役員等(経管)を置くこと、または建設業に関する経営体制(常勤役員等(経管)およびこれを直接に補佐する者)を備えることが求められます。
経営業務管理責任者(通称:経管)とは、建設業の経営について十分な経験を持ち、会社の経営管理を適切に行える者であり、この者がいることが許可の要件になっています。
建設業は、工事の安全性や資金管理、下請業者との契約管理など、経営面で高度な管理能力が求められる業界です。そのため国は、建設業許可を取得する企業に対して、建設業の経営経験を持つ人物が経営に関与していることを求めているのです。
具体的には、次のような経験が必要になります。
経営業務管理責任者の要件
◇建設業の会社で5年以上、役員として経営に携わった経験
例えば次のようなケースです。
- ・建設会社の代表取締役
- ・取締役
- ・個人事業主として建設業を経営していた
つまり、単に建設業で働いていただけでは足りず、会社(事業)の経営に関与していた実績が必要です。
また、補助的な要件として
- ・役員に準ずる立場で経営業務を補佐していた経験
- ・一定の管理経験
などが認められるケースもありますが、いずれにしても「建設業の経営に関わっていたかどうか」が重要な判断ポイントになります。
なお、2020年の制度改正により要件の柔軟化が行われ、条件を満たせば複数人の体制で経営管理体制を整えることも可能になりました。しかし、実務上は依然として過去の経営経験の立証が重要であり、この部分でつまずくケースが多く見られます。
経営業務管理責任者の証明方法(必要書類)
経管の要件を満たしているかどうかは、客観的な資料(書類)によって証明する必要があります。
代表的な書類としては、次のようなものがあります。
① 確定申告書
個人事業主として建設業を経営していた場合、確定申告書は非常に重要な資料です。そこに記載された事業内容や収入から、建設業を営んでいた事実を確認します。
② 工事請負契約書
実際に工事を受注していたことを示す証拠です。元請・下請のいずれでも構いません。
③ 請求書・領収書
工事代金の請求をしていた記録です。継続的に工事を行っていたことの証明になります。
④ 通帳(入金記録)
請求書だけではなく、実際に工事代金が入金されているかどうかも重要です。
通帳の入金記録によって工事の実態を確認します。
⑤ 法人履歴事項全部証明書
会社役員(取締役)として経営に関与していたことを証明するための資料です。
実際の申請では、これらを組み合わせて「5年間の経営経験」を証明していくことになります。しかし、過去の資料を十分に保管していないケースも多く、ここで申請が難しくなることも少なくありません。
行政書士に相談すべき「グレーゾーン」の判断
経管の要件でよくあるのが、「完全にダメではないが判断が難しいケース」です。
こうしたグレーゾーンこそ、専門家の判断が重要になります。
例えば、次のようなケースです。
◇通帳を保存していなかった
→工事代金の入金を確認するために通帳が必要ですが、古い通帳を処分してしまっているケースがあります。
その場合でも、金融機関が発行する取引履歴で代替できることがあります。
◇取りたい業種の工事をしていなかった
→「今後は内装工事の許可を取りたいが、過去は電気工事しかしていなかった」という相談もあります。結論としては、経験は業種を問いません。建設業の工事であれば、基本的には問題ありません。
◇どのような工事でも良いのか
→ここは誤解が多いポイントです。
例えば
- ・単なる点検業務
- ・部品交換のみの作業
などは、建設工事と認められない可能性があります。
また、経管の要件では「工事の経営管理を行っていたこと」が求められるため、単なる作業員としての仕事では認められないため、「人工」等で計上された実績は経管の経験とは認められない可能性が高いです。
◇工事単価が低い
→「小規模な工事しかしていない」という相談もあります。しかし、工事金額の大小は問題ではありません。重要なのは、継続的に工事を行っていたことです。つまり、単発の仕事ではなく、建設業として事業を継続していた実態が必要になります。
スムーズに許可を取るために
建設業許可の申請は、単に書類を集めればよいというものではありません。特に経管の要件では、「どの資料を組み合わせて、どのように実績を証明するか」が非常に重要になります。
弊所ではこれまで、
- ・個人事業主の許可
- ・法人の許可
- ・知事許可
- ・大臣許可
など、さまざまなケースを扱ってきました。
その経験の中で、実績をどのように整理し、どの資料で立証するかというノウハウを蓄積しています。実際に、他の事務所で難しいと言われた案件でも、資料を整理することで許可取得に至ったケースもあります。
一方で、実績がどうしても不足しており、現時点では申請が難しいケースもあります。その場合でも、
- ・今後どのような資料を残すべきか
- ・どのような工事実績を積むべきか
- ・いつ頃許可申請が可能になるか
といった将来の許可取得に向けた具体的な準備をお伝えすることができます。
「自分は経管の要件を満たしているのか」「この資料で申請できるのか」
といった疑問がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
経管の要件はケースによって判断が分かれることも多く、実務では書類の整理方法が許可取得の可否を左右します。
建設業許可を検討している方は、早めに専門家へ相談しましょう。
この記事を書いた人
著者:木村 亜矢(行政書士)
木村行政書士事務所代表。法政大学法学部卒業後、一橋大学大学院法学研究科を修了。建設業許可申請、宗教法人関連手続き、外国人雇用・在留資格(ビザ)申請など幅広い分野をサポートし、全国建行協や所沢商工会議所に所属。埼玉県所沢市を拠点に、地域と企業の発展を支える行政書士として活動中。⇒事務所概要はこちら
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