[建設業許可]
建設業許可取得後の義務と注意点〜更新手続きや変更届出を忘れずに〜
こんにちは。建設業許可申請に強い行政書士・木村亜矢です。
「やっと建設業の許可が取れた!」
建設業の許可を取るのって大変ですよね。まずは許可の要件(条件)を満たしているか調べて、書類を集めて、書類をつくって、都県庁へ行って、審査受けて、たくさんの時間と手間を費やして、やっと取った許可だと思います。けれども、建設業の許可は取っておしまいではありません。その後も必要なお手続きがあります。
せっかく取れた建設業許可。許可をなくすとお仕事にも大きな影響が出ると思います。
そうならないためにも、許可後に必要なお手続きを確認してみましょう。
1. 建設業の許可証についての注意点
申請約一か月後に、都県庁から御社宛に「建設業の許可について(通知)」という書類が郵送にて届きます。この書類がいわゆる「許可証」と呼ばれるものになります。この許可証の再発行はできません。絶対になくさないように大切に保管してください。
1-1 許可証をなくしてしまった場合
でも、もしなくしてしまったら、その時は有料にはなりますが、都県庁から「許可証明書」を発行してもらってください。許可証明書には以下が記載されているかをしっかり確認しましょう。
・所在地
・商号
・代表者名
・許可年月日
・許可を受けている業種
1-2 記載内容に変更が生じた場合
尚、よくご質問をいただくのですが、もし許可証に記載されている法人名、所在地、代表者名の変更があっても、許可証の再発行はありません。変更があった時は、現許可証と変更届の副本で変更したことを証明することになります。または、前述の許可証明書を発行してもらってください。
2.建設業許可業者の法定義務における4つのポイント
建設業許可業者には以下の義務が課されています。
① 標識の掲示
建設業許可業者は、すべての営業所と建設工事現場(※元請さんだけです)に「標識」を掲げる義務があります。「許可票」「金看板」と言われたりするあの看板です。この呼び方が有名なためか、実際にも金色の看板を選ぶ会社さんが多いイメージです。でも実は色の指定はなく、白、シルバー、黒なども選ばれています。ただ、「丈夫な材質で作成」と指定されていますのでご注意ください。ペラペラだと心もとないですしね。そして、「公衆の見やすい場所」に掲げなさいとなっています。せっかくですから、目立つところにどーんと掲げましょう。
許可票に記載すべき事項は以下のとおりです。
・一般建設業又は特定建設業の別
・許可を受けた建設業
・許可番号
・許可年月日
・商号又は名称
・代表者の氏名
※元請に義務付けられている建設工事の現場ごとの標識は、上記事項と共に、
・主任技術者の氏名
・専任の有無
・資格名及び資格者証交付番号
が記載すべき事項になります。
② 決算変更届の提出
建設業許可事業者には、決算変更届の提出が義務付けられています。建設業の許可を受けた会社や個人は、決算期ごとに、財務諸表や工事経歴を毎営業年度(決算期)経過後4 ヶ月以内に提出しなければなりません。弊所で関与させていただいてる場合は、この決算変更届の時期になりますとご案内差し上げて、弊所の方でお手続きさせていただいております。そのため、ほぼ100%の提出率となっております。
一方、建設業者全体を拝見しますと、この決算変更届の提出が滞っている業者さんが多いイメージです。たしかに決算をやっとまとめた後の決算変更届はご負担が大きいかと思います。しかしながら、この毎年度の決算変更届が未提出ですと、次にご説明する建設業許可の更新ができません。そのため、未提出の場合は更新時にまとめて作成して提出する必要が出てきます。まとめて提出すればいいのかと思う方もいるかもしれませんが、思い出してください、小学校の夏休みの宿題絵日記を。夏休み最終日にまとめて絵日記を書いた経験はありませんか?(私はあります。もう7月の記憶なんてさっぱり蘇らず本当に苦労しました。)ましてや、決算変更届は5年度分です。更新は締切を過ぎると許可をおとしてしまうので、締切に追われながら5年度分を振り返るのはとても骨が折れます。毎年度、コツコツと済ませておきましょう。
また、こちらも後ほどご説明しますが、建設業許可に関する申請書類は誰でも閲覧できるようになっています。そのため、元請等の取引先が申請状況を確認する可能性がとても高いです。このようなところで信頼を損なわないように適切なお手続きを心がけましょう。
尚、所轄庁によっては決算変更届が未提出の建設業者には指導が入ります。その点からも適切な手続きをお勧めいたします。
③ 建設業許可の更新
建設業許可は5年毎の更新となります。厳密に言いますと、許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって許可の有効期限は満了します。
引き続き建設業許可が必要な場合は、この満了日の30日前までに、更新の手続きをする必要があります。これを怠ると、許可は期間の満了とともに効力をなくします。これに対する救済処置はありません。満了してしまったらもうその許可はおしまいです。
更新の許可申請は満了日の2ケ月前からできます。早め早めに準備をして、手続きをしてしまいましょう。こちらも先ほどの決算変更届と同様に、弊所が関与させていただいている場合は、更新の時期がまいりますとご案内差し上げて、弊所の方でお手続きさせていただいております。そのため、許可の継続を望まなかった業者様以外は今まで許可をおとしてしまったことは一切ありません。けれども、更新手続きが間に合わず許可をおとしてしまった話は頻繁に耳にします。許可を落としてしまった場合は、当然ながら新規で再度許可を取り直さなければなりません。手間、費用、時間がかかるだけではなく、許可番号が変わってしまいますし、その間のお仕事にも制約がかかってしまいます。何より取引先からの信頼を損なう可能性が高いです。くれぐれもご注意ください。
尚、特定建設業許可は更新時に財産的基礎が要件を満たしていなければ更新できません。特定業者様はこの点もご注意ください。
④ 変更届
建設業許可業者は、許可を受けた後に各種変更があった場合には変更届が必要です。ここに、変更届が必要な事項を列挙します。
変更届が必要な事項例
・商号・名称(会社の組織変更も含む)
・営業所の所在地・新設・廃止
・資本金額
・役員の新任・退任・代表者の変更
・電話番号
・経営業務の管理責任者
・専任技術者の変更・追加・削除
・定款
・廃業
特に、建設業許可の要件(条件)となっている事項については、その要件(条件)を満たさないと許可が取り消しになります。その中でも特に、経営業務の管理責任者、専任技術者を変更する場合は不在の期間がないように注意を払う必要があります。もし変更をお考えの場合は、特に経営業務の管理責任者、専任技術者の変更をお考えの場合は、弊所に一度ご相談いただければと思います。慎重に進めていただきたいと強く思っています。
3.許可申請書の閲覧制度を知っていますか?
建設業許可業者の申請書類や届出書類は「公衆の閲覧に供せられる」となっています。 この閲覧制度は、建設業者にかかわる情報を提供し、適切な建設業者の選定の利便に供しようとするものとなっています。
そのため、建設業者の許可内容は各都道府県庁にて閲覧できます。閲覧方法は都道府県庁で異なりますので、詳しくは各都道府県庁へお問い合わせください。また、電子閲覧もございますので、こちらも各都道府県庁へお問い合わせください。
この閲覧制度ですが、閲覧する人なんているの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば埼玉県庁の閲覧コーナーは常に満席です。とても多くの方が閲覧されています。その中には御社のお取引先もいらっしゃるかもしれません。繰り返しになりますが、このようなところで信頼を損ねないよう、常に適切なお手続きを心がけてくださればと思います。
このように、建設業許可は取得した後にもさまざまな義務があります。これは当然のことだと私は思っています。建設業許可は取ってしまえばおしまい、では許可の信頼度は皆無になってしまいますよね。建設業許可業者の条件を常に満たしているかを示す必要があるわけです。
ただ一方で、この義務にはほぼ全てのものに締切があります。なかには、期限を守れないと許可をおとしてしまうものもあります。
私たち木村行政書士事務所では、その期日管理も含めて関与させていただいております。本来のお仕事に集中していただくために、期日管理や煩雑なお手続きを丸ごとお任せください。
あちらこちらで公言していますが、私たちは建設業の方々の「ものを創り出す」お仕事が大好きで心から尊敬しています。皆様の大切なお仕事に集中していただくための一助になれたら、これほど嬉しいことはありません。
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