[外国人のビザに関して]
【2026年版】育成就労制度とは?企業が押さえるべき受入れ要件と実務ポイント
育成就労制度とは?制度創設の背景と位置づけ
2024年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。この法改正により、これまでの技能実習制度は抜本的に見直され、新たに「育成就労制度」が創設されることとなりました。
いつから始まるのか?
施行は公布日から3年以内とされており、2027年頃の施行が見込まれています。
従来の技能実習制度は、技能移転を通じた国際貢献を目的としていましたが、実態としては人手不足分野の労働力確保として活用されてきた側面も否めません。
技能実習制度と何が違うのか?
今回新設される育成就労制度は、その点を明確化し、日本の人手不足分野において、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能(*1)を有する人材を育成及び確保することを目的としています。つまり、特定技能への円滑な移行を前提とした制度であり、人材確保の制度であることが公式に位置付けられた点が大きな特徴です。
*1:特定技能1号水準の技能(法務省・出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」 https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf)
育成就労外国人とは?在留資格としての基本ルール
育成就労制度に基づき在留する外国人(以下、「育成就労外国人」)には、次のような特徴があります。
- ・ 就労期間は原則3年間
- ・ 受入れ可能な産業分野が定められる予定(複数分野の兼任は不可。詳細は今後決定)
- ・ パワーハラスメントや暴力などの人権侵害、その他「やむを得ない事情」がある場合の転籍を認めるほか、一定の要件のもとで本人の意向による転籍も可能
- ・ 家族の帯同は不可とされる予定
技能実習制度と比較すると、転籍の柔軟化が図られており、外国人本人の人権保護がより重視された制度設計となっています。
育成就労制度における主な在留・就労要件
(1)育成就労外国人(本人)に関する在留要件
育成就労外国人として在留するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 1. 18歳以上であること
- 2. 健康状態が良好であること
- 3. 素行が善良であること
- 4. 正当なパスポートを所持していること
- 5. 本国の公的機関から推薦を受けていること
- 6. 日本語能力試験N5相当以上の日本語能力を有していること(N5合格、またはこれに相当する日本語講習の受講)
※N5レベルとは、ひらがな・カタカナや日常生活で使われる基本的な漢字を理解し、身近な表現や短い会話をゆっくりであれば聞き取れる程度とされています。
(2)受入企業(育成就労実施者)に関する要件
受入企業(育成就労実施者)には、次のような要件が課されます。
- ・ 報酬額が、日本人が同種業務に従事する場合と同等以上であること
- ・ 育成就労外国人であることを理由とした差別的取扱いをしないこと
- ・ 一時帰国を希望した場合に、必要な有給休暇を取得させる体制を整えていること
- ・ 以下の措置を講じていること
◦ 適切な宿泊施設の確保
◦ 入国後講習に専念できるよう、手当支給などの支援
◦ 監理支援費を外国人本人に負担させないこと - ・ 転籍制限期間が1年を超える場合には、昇給など待遇向上策を講じること
なお、技能実習制度での前職要件や帰国後の就業要件など、国際貢献に由来する要件は廃止予定とされています。
育成就労制度全体の仕組み|送出機関・監理支援機関・受入企業の役割
育成就労制度では、原則として二国間取決め(MOC:Memorandum of Cooperation)を締結している国からのみ受入れを行います。
- ・ 現地の送出機関が、候補者の募集・選考・事前研修を実施
- ・ 監理支援機関が、雇用関係の成立あっせん、育成就労の実施状況の監査・支援を担
- ・ 受入機関(育成就労実施者)が雇用し、日本社会を支える人材として中長期的に育成
技能実習制度の枠組みを踏襲しつつも、より「労働」と「人材育成」に重きを置いた構造となっています。
技能実習から育成就労制度への移行と経過措置
2027年の施行日前に入国、またはその時点で既に技能実習を行っている外国人については、引き続き技能実習を継続することが可能です。
また、施行日前に技能実習計画の認定申請を行い、施行日から3か月以内に開始する計画については、施行後も技能実習として入国できる場合があります。いずれにしても、移行期は制度が複雑になりやすいため、正確な判断が不可欠です。
育成就労制度に関して弊所が提供できるサービス
弊所では、これまで在留資格「技能実習」の認定、変更、更新申請を数多く取扱ってまいりました。また、技能実習計画書の作成、監理団体許可申請、特定技能の登録支援機関登録申請についても豊富な実績があります。
育成就労制度への移行後も、これまで培った知識と経験を活かし、育成就労関連申請や監理支援機関設立支援を継続して承ります。
法改正直後の申請は難易度が高くなりがちです。「自社が対象になるか分からない」「技能実習からの移行で迷っている」といった段階でも構いませんので、ぜひ専門家にお任せください。
育成就労制度の施行に向けて企業が今から準備すべきこと
2027年の施行に向けて、育成就労制度に関する情報は今後も更新されていきます。最新情報を継続的に把握することが、受入れを希望する企業にとって重要です。
そして、受入れ企業に求められる本質は、技能実習制度の時代と変わりません。差別のない、安心して働ける労働環境を整備することが、今から取組むべき最大のポイントです。
制度対応や実務でお困りの際は、どうぞお気軽に弊所までご相談ください。
この記事を書いた人
著者:木村 亜矢(行政書士)
木村行政書士事務所代表。法政大学法学部卒業後、一橋大学大学院法学研究科を修了。建設業許可申請、宗教法人関連手続き、外国人雇用・在留資格(ビザ)申請など幅広い分野をサポートし、全国建行協や所沢商工会議所に所属。埼玉県所沢市を拠点に、地域と企業の発展を支える行政書士として活動中。⇒事務所概要はこちら
-
WEB:お問い合わせフォーム
(24時間受付) -
TEL:04-2946-9391
(平日9:00~18:00) -
FAX:04-2946-9392
(24時間受付) -
E-mail:info@kimura-gyosei.com
(24時間受付)
※FAX・E-mailの場合は、
氏名・電話番号・
住所・依頼内容を
記載してください